2003年10月号は
ショウ太くん・サクラちゃん・リン太くんをご紹介です♪
friend89
新しいお家で、のんびりと一家団欒のひとときです♪

ペット飼育禁止のマンションに暮らしながらも、「いつかは動物を飼いたい」と思っていた小棚木さん。 ある日、近所のペットショップに犬を見に立ち寄ると、足元のショーウィンドウに「SALE」の文字が…。 中をのぞき込むと一匹のアメショーが目一杯の作り笑顔(!?)&体くねくねの二段攻撃で、まるで、「ね~ね~、 オイラとっても可愛いでしょ~? だからオイラを連れて帰って~」とでも言っているかのようでした…。

店主の話によると、兄弟喧嘩で耳をかじられ、その傷が残っていて売れ残ってしまったとのこと。すでに生後4ヶ月を過ぎ、可愛い盛りも過ぎているし…。そんな惨め(?)な境遇のその子をひと目で気に入ってしまっ た小棚木さん。「犬を見に来た」ということや、「ペット飼育禁止」なんてことはすっかり忘れて、即決で 連れて帰ることになりました。 それがショウ太くんとの出会いでした。

性格はちょっと恐がりさんですが、とても賢く、なんでも習得していくショウ太くん。 中でも、「お手」、「おかわり」と「待て」は、自慢の特技です!「待て」と言ったら、じっと小棚木さんの目を見て「よし!」の合図を待ちます。 ちょっと意地悪して「よし田さん」などと言っても、一瞬ゴハンを食べようはとするものの、また元の姿勢に戻ってひたすらジ~ッと待っている健気なショウ太くんです。

ちなみに、「ショウ太」と言う名前は、色々考えたあげく「アメショーだから『ショウ太』でいいんじゃ ない」の安易(?)な一言で決定したそうです。

そんなショウ太くんがきて一年を過ぎた頃、突然「ショウ太のお嫁さんを探してやろう」と思った小棚木さんは、ペットショップをめぐり歩き、ひときわ元気な女の子に出会います。 それがサクラちゃんでした。

はじめてお家に着いたときも、おとなしかったのはほんの数分で、あとは活発に走り回り、全く物怖じせず遊びまわっていたそうです。 早速、新しい家族と、あらかじめ他の部屋に閉じこめられていたショウ太くんのご対面です!

ショウ太くんは、はじめサクラちゃんの存在に気付かず、「何で閉じこめるんじゃい!」と、小棚木さん 夫妻の顔を見ながら文句を言っていたそうですが、その上に向いた目線が下に降りた瞬間、ついにサクラ ちゃんと目線が「バチッ!」と交差! サクラちゃんは一瞬動きが止まりましたが、すぐにショウ太くんに近づき、じゃれ始めました。 一方、ショウ太くんは凍り付き、「だ、だれだ、キミは……」と、ぎこちない「からくり人形」のような動きで、おどおど……。でも、サクラちゃんの積極的なアプローチの甲斐あって、あっという間に仲良くなりました。

それからしばらく経って、すっかり夫婦になったショウ太くんとサクラちゃん。 まだキャットワンと出会う以前だったので、小棚木さんご夫婦と一緒に帰省のため“長崎旅行”も経験しま した。

そして出産と死産も経験しました。 初めての出産では2匹の仔猫が誕生しましたが、これ以上ペット禁止のマンションで、家族を増やすわけに はいかず、サクラちゃんを譲り受けたペットショップに引き取ってもらうことに…。

「これ以上増やせない→避妊手術をしないと」と、頭では理解しながらも、手術をすることになかなか踏み切れないでいたある日、サクラちゃんが2回目の妊娠をしました。 しかし、結果は残念ながら死産。 そして、 それほど間を空けずに、またまたサクラちゃんが妊娠!!事前の検査では、4匹の赤ちゃんがお腹にいるとのこと。

そして、出産が近づいたある朝、起きがけにサクラちゃんのベッドをのぞき込むと、黒い物体がうにょうにょ動いていました。それがリン太くんとの出会いでした。残念ながら他の兄弟たちは、生まれてくることができず、このままではサクラちゃんも危ないと病院へ急行。 帝王切開で取り出してもらうことになりました。しかし、お腹の中で小さな命は、すでに息絶えていました。 悩んだあげく、死んでしまった仔猫を取り出していただくのと同時に、サクラちゃんの避妊手術をしてもらうことに。そして、唯一残った仔猫が、「凛々しく育つように」と名付けられた、凛太=リン太くんです。

入院しているサクラちゃんに変わって子育てに奮闘した小棚木さん。 その後は退院したサクラちゃんにバトンタッチ。サクラちゃんの愛情を一身に受けて、ちょっとわがままな がらもスクスクと元気に成長しました!

そんなリン太くんですが、元気さあまって次第にショウ太くんとぶつかるようになります。 はじめは、ショウ太くんのちょっかいがキッカケのバトルから、やがて激しいバトルに発展。 激しいバトルになると、まずショウ太くんに勝ち目はありません。可愛い顔をしたリン太くんの 目がすわり、恐ろしいまでの迫力でショウ太くんを追いつめます。 リン太くんの執拗な猫パンチで、最終的にはショウ太くんが劣勢に追い込まれ、トイレの蓋の上に逃げるはめになります。

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「リン太も強くなったニャ~…。」

 

その時のショウ太くんのみじめさと言ったら、“父親の威厳”など、かけらもありません…(悲)。

とは言っても、普段は三匹&二人で平穏無事に暮らしていた小棚木家。
そんな幸せな小棚木家に突然、病魔が忍び寄ってきます…。

ある日の夜、小棚木さんが外出先から戻ると、いつものように三匹でお出迎え。
そして、いつものようにゴハンを用意して、みんなに食べさせようとした時、よろけるリン太くんの異変に 気付きます。それからわずか数分後に、リン太くんの様子が急変!

みるみる後肢の機能が失われ、いつもアンテナのように器用に動くしっぽが、まるで神経が切れてしまった かのように床にぺったりと垂れ下がり、犬のように口をあけて苦しそうに呼吸をはじめました……。ですが、そんな状況でも事態を飲み込めていないのか、リン太くんは前足で必死にはいつくばり、生への執着でしょうか、 なんとかゴハンを食べようと、二~三度口にしました。しかし、それがリン太くんの口にした最後の食事となってしまったのです…。

リン太くんの様子がおかしくなり、すぐにインターネットで夜間動物救急医療サービスを調べた小棚木さん。 急いで連絡したところ、「血栓が動脈に詰まった可能性がある」とのお話……。 その後、40分ほどで機材一式を積んだ専用車とともにベテランの先生が駆けつけました。すぐに診察が開始され、5分ほどの診察の結果は、やはり「血栓が動脈に詰まり、後脚に血液が流れないことによるマヒ」 でした。

心筋症により顕著に表れる症状とのこと。「この症状は爪を切るとわかる」と言いながら、後脚の爪をかなり 深く切られましたが、先生がいう通り、血がうっすらにじむ程度で、勢いよく出血しませんでした。そのまま 病院へ搬送され、すぐに手術開始…。しかし現在では投薬治療が優先されるらしく、よほど時間的な問題があったのか、手術が選択されました。(この点はかかりつけの獣医さんと意見が違うそうです…)

発症直後のリン太くんは、救急で先生に来ていただいた時、すでに後肢麻痺と呼吸困難の状態でしたが、 先生に向かって「ハァーッ」と威嚇する元気はありました。 しかし、結果はとても重い病、“大動脈血栓栓塞症”でした。

そして、手術は無事成功(ですが、電話でのやりとりのため、実際に姿を見たわけではなく、イマイチ 状況がわからなかったそうです……)。動脈を切開するほどの大手術のため、未だ危険な状態には変わりなく、痛がって呼吸が荒く、元気がない様子とのこと。 あとはリン太くんの体力と運を信じて、祈るだけでした…。

留守中ではなく、帰宅した直後に発症したことを考えると、病気自体は運が悪いことですが、治療できる機会が得られ、別の意味では運が良かったと強運の持ち主であると信じて、かならず帰ってくると思っていた小棚木さん…。

しかし…折もむなしく、再びリン太くんと会う時は“無言の対面”になってしまいました…。 ついさっきまで元気だったはずのリン太くん。遺体も目立つような外見上の損傷はなく、まるで眠っているかのようでした……。

今回の件を省みて、とにかく無念な思いで一杯なのが、病院まで付き添ってやれなかった点だそうです。 リン太くんは大の病院嫌いで、かかりつけの病院へ連れて行く時でさえ、動揺してしまう程。 そんなリン太くんに、まったく会ったこともない先生で、しかも、暗いキャリーバッグの中に押し込められ、いつもより長く車に乗せられ、着いた途端に、やれ検査だ手術だとなってしまったのですから、リン太くんの不安とパニックは想像を絶する状態だっただろうと…。

それでも命を取り留められたなら、「あの時は大変だったね~」で済むのでしょうが、結局は苦しんで苦しんで苦しみ抜いて亡くなってしまったのですから…。そんなリン太くんの気持ちを考えると小棚木さんは涙があふれ、「リン、すまなかった」と自責の念で一杯だそうです。そして今回の件で、飼い主としてもっと冷静に、確実に行動しなければいけないということを痛感したそうです。

たとえ深夜の突然の発症であっても、そのまま家で安静にさせてやり、かかりつけの病院が開いてから先生に相談すれば良かったと…。そして、もし間に合わなかったとしても、それはそれで我が家で安らかに眠れたのなら、その方が良かったと…。「実際に目の当たりにしたら、冷静でいられるかどうかは難しいところですが、とにかくリン太は、短い人生(猫生)、十分幸せだったと思います。」と最後におっしゃっていました。

私、津山が小棚木さん宅へ初めてシッターに伺ってから今年で約6年になります。

シッターに伺うと、いつもオモチャに目がなく、よく遊んでくれる 活発なサクラちゃん。

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「もっと真剣にオモチャふってニャ!!」

 

ゴハンの用意を始めると、お座りをしてお行儀良く、待つのは、ショウ太くんです。

そして、リン太くんは、はじめの頃、隠れてなかなかでてきてくれず、距離をおいてこちらを見つめていました。それが、毎年、1年に何度か訪問を重ねていくうちに、ゴハンの支度を始めると出てきてくれるようになり、私の足にスリスリして、ご飯のおねだりをしてくれるようになりました♪

昨年末、ペット飼育可の新居にお引越しされてからのこと、去勢手術をして甘えん坊になったと聞いて、「私にはどうかな?」と思っていましたが、以前よりも明らかに違う猫?!に大変身!!とっ~ても甘えん 坊になって、私だけでなく、サクラちゃんやショウ太くんにも終始ス~リスリしているリン太くんでした。

最後のお世話となった日には、はじめてリン太くんとツーショット写真がとれて次回のお世話が本当に楽しみでした…。しかし結局、それは、最初で最後の貴重なツーショット写真になってしまいました。

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「ボクのこと忘れんニャよ!!」

 

「気むずかしく、人見知りの激しいヤツで、自分が大好きだと思う人にしか心を開かないようなヤツでした。 そんなリン太が津山さんになついたのも、津山さんのリン太に対する接し方が、リン太の心をくすぐって、津山さんを大好きになったからです。」と小棚木さんにおっしゃっていただきとても嬉しかったです。

心よりリン太くんのご冥福をお祈りいたします。リン太くん安らかに…。

さて、その後のショウ太くんとサクラちゃんはというと……。
ややしょんぼりしているようにも見えるのですが、あまり普段と変わりなく元気に過ごしているそうです。 たまに、ベッドの下を覗き込んだりして、探しているように見えますが、相変わらずショウ太くん、サクラ ちゃんともグニャリ~ンと過ごしています。

小棚木さんご夫妻のゴハンの時間になると、それこそ嵐のような催促……(^^;)。
本当に理解できているのかな~、と寂しく思う反面、普段と変わらなくて妙に安心している小棚木さんです。