2008年6月号は なんこちゃん&風太郎くんをご紹介です♪ |
「焦らずゆっくり分かり合うニャ♪」 少しずつ仲良くなってきたふたりです☆ |
サビ三毛で、抱き上げると体がぐにゃぐにゃに柔らかい、谷山さん曰く “軟体動物” の なんこちゃんは横浜生まれ。 13年前の冬、谷山さんが当時住んでいた社宅の近辺を、高い声で、「なあ!なあ!」 と鳴きながら彷徨っていました。
捨てられたのか、迷子になったのか・・・、人馴れしてはいましたが、最初はテレビに映った猫や鏡に驚いていたそうなので、 おそらく外猫としてゴハンをもらうような生活をしていたのではとのこと。
すでに子猫というには大きすぎ、社宅の有志でお金を出し合いとりあえず避妊手術をおこないましたが、2月の寒空に再び外に放り出す のはしのびなく、相談の結果、谷山さんが引き取ることになりました。
しかし、社宅はペット禁止・・・。 共有階段まで響き渡る声の なんこちゃんを、こっそり飼うのはおおごとでした。
なんこちゃんが、「なあ!」 と鳴きかけるたびに、ひもでじゃらしたり抱き上げたりして なんこちゃんの声が響かないように努め た谷山さんでしたが、次第に、「鳴けばかまってもらえる。 鳴けば世話をしてもらえる」 と考えるようになった なんこちゃん。
いつしか、「“超” のつくわがまま猫に成長! 鳴いて人に命令するその姿は、もはや、“女帝” の風格が漂うまでになりました!」 とおっしゃる谷山さんです。
そんな なんこちゃんですが、谷山さんと出会う前には怖い思いをした事があったのかもしれません。
お家に来た当初は、眠りながらしっぽをポンポンに膨らませ、夢に驚いて飛び起きることがあったそうです。 驚きのあまりソファー から落っこちることも・・・。 目覚めたとき周囲に誰もいないと、大声で鳴きだすこともしばしばでした。
それでも、最初の冬はどんなに寒くてもひとりで寝ていた なんこちゃん。 でも次の冬からは、お家の中の暮らしにも慣れてきたのか、 寒いとふとんにやってくるようになり、怖い夢を見ることもなくなりました♪
なんこちゃんが谷山家にやって来て6度目の冬、住み慣れた社宅から、世田谷のお家に引っ越すことになりました。
しかし、新しいお家は、今までのお家に比べてガラッと雰囲気が変わってしまい、あんまり好きになれないでいた なんこちゃん。
しかもその翌年、なんこちゃん最大の不幸(!?)が谷山家にやってきました! それは白とグレーの、“和菓子” のようにもっちりした 猫ちゃんでした!
その、“和菓子” のような猫ちゃんは、ボランティアの方々が駅前でおこなっていた里親探しが縁で谷山家にやってきました。
週末のたびにケージに入れられ、鳴き声ひとつ立てずうずくまっている子猫は、自分の運命を悟ったかのようで、この上なく不憫に 見えました。 道行く人は目は留めるのですが、なかなか里親にはめぐり会えません・・・。
そして4週目になってもケージの中にいるその子猫を、これが縁だと、その場の勢いで貰ってきてしまう谷山さんでした。
子猫はお家までの約10分の道のりを、おとなしくまったくの無抵抗で抱っこされたままやってきました。 そうして、風邪っ引きの その子猫は、“風太郎” と名づけられ谷山家の一員として迎え入れられました。
谷山さんが風太郎くんと出会ってから、気にはしていたもののすぐに引き取る決心がつかなかったのは、“女帝” なんこちゃんの 存在でした。
家のなかでずっと人間とだけ暮らしてきて、わがままいっぱいの なんこちゃんが、果たして別の猫を受け入れてくれるだろうか・・・。
「お帰りなさい♪」 としっぽを立てて玄関にお出迎えしてくれた なんこちゃんは、案の定、風太郎くんの姿を見たとたん、全身を 凍りつかせました。
そして、「ふー!しゃー!がー!」 と目を三角にして、威嚇! 威嚇! また威嚇! 最初は同じ部屋に入るのも嫌がりました。
風太郎くんは、生まれてまもなく兄弟たちと捨てられていたところを保護された猫です。 兄弟たちのなかで運悪く風太郎くんだけが ウイルス性の病気にかかってしまい、保護されたときは目ヤニで目がふさがり見えない状態。 嗅覚だけを頼りにゴハンを探していた そうです。
捨てられたこと以外、人間に一度も怖い目に会わされた記憶がない風太郎くんは、警戒心がほとんどなく、最初から人懐っこい性格で した。
保護したお宅にも猫ちゃんがいて、風太郎くんをかわいがり、面倒を見ていてくれたそうなので、風太郎くんは当然新しいお家の 猫ちゃんも仲良くしてくれると思っていました。 ところが近寄ろうとしただけで猛烈な勢いで脅されます。
傍から見ていても気の毒なほど拒絶されながらも、風太郎くんはめげませんでした。 おとなしく不憫に見えた風太郎くんは、実は 肝っ玉の据わった猫ちゃんなのでした!
猫が相手をしてくれないなら、人間にくっついていればいいとばかりに、風太郎くんはベタベタと人間に甘えはじめました。 夜はふとんの中に当たり前の顔で入り、座っている膝には自分から飛び乗ってきます。
しかも風太郎くんは要領がよく、なんこちゃんのすることはなんでも真似しました。 新入りの風太郎くんを避けているうちに、 なんこちゃんのお気に入りの場所はつぎつぎと風太郎くんに取られていってしまうのでした。
ひとりスネていた なんこちゃんが気づいたときにはすでに手遅れ。 ふとんも、出窓の猫ベッドも、こたつの中も、人間のそばも、 風太郎くんのものになっていました。 女帝なんこちゃん、初めての屈辱でした!
以前の社宅とは違い、新しいお家では、いくら鳴いても放っておかれます。 なんこちゃんはようやく悟りました。 「自分から人間に擦り寄っていかないと、ぜんぶあの新参に取られてしまう!」
なんこちゃんは人間にくっついて歩くようになりました。 そして風太郎くんのことも、ちょっとずつ妥協するようになりました。
そんなふたりのお世話に私達が伺うと、玄関先でお出迎えをしてくれる風太郎くんと、ベッドの上で目を丸くしてこちらを見つめている なんこちゃん。
風太郎君は、「にゃ~ん、にゃ~ん」 と鳴きながらスリスリとしてご飯が出てくるまで私達のそばを離れようとしません。 そして、ごはんの用意ができるとすぐにパクパクと食べ始めてくれます☆
食事が落ち着くと次は甘えん坊タイム♪ ゴロンと横になったり、ひざの上に乗ってきたり・・・、とっても甘え上手な風太郎くん!
「ニャ~ン♪ 抱っこは気持ち良いニャ☆」
撫でてもらったり、ブラッシングも大好きで、その間は 前足をグーパー しながら気持良さそうにしてくれます☆
「ニャ~ン♪ ブラシも気持ち良いニャ☆」
なんこちゃんはまだ私達がいる間は緊張しており、寝室からなかなか出てきてはくれませんが、少しずつ慣れて来てくれています!
「なんだか落ち着かないわね・・・」
大好きなカツオ節を手であげると食べてくれるようになり、またたびをあげた時はゴロンゴロンと嬉しそうにしてくれました☆
「カツオ節は頂いておくわ♪」
風太郎くんをなかなか受け入れられなかった なんこちゃんですが、最近では離れていれば、同じふとんで寝るのも我慢できるように なりました。
そして、気が向いたときだけ、追っかけっこにつき合うようにもなったそうです♪
風太郎くんがなれなれしく近寄ってくるだけで猫パンチを繰り出すのは相変わらずですが、これからもちょっとずつ仲良くなって いって、いつかふたり、“猫だんご” になって眠る日が・・・、来るといいのですがと願う谷山さんです☆